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第一期フォーラムで取り上げた課題

「ポストコロナ時代のスタディツアー・連続フォーラム」でとりあげるスタディツアーの再開に向けた課題について、思いつくものを書き出してみました。ツアー再開に向けて、解決しなければならないと思われる課題の一覧です。これらの課題はほんの一例です。フォーラムの中で参加者から提起される様々な課題に取り組みます。

再開のヒントは 3月に立ち戻った検証から

新型コロナウイルスの感染拡大が問題になり始めたのは2020年の1月でした。感染拡大の報道が続く中で数多くの春のスタディツアーが、催行か中止かの判断を迫られます。とくにフィリピンでは、いくつものツアーが現地での日程変更を迫られるケースが続出しました。滞在先の施設の敷地からの外出を禁止される、滞在先の建物からの外出を禁止される、看護師による参加者全員の検温を求められるなど、これまでに遭遇したことがない事態への対応は困難を極めました。

2020年3月をもってあらゆるスタディツアーは中断しています。再び歩みを始めるためには、歩みを止めた時点に立ち戻る必要があります。中断に至った経緯の検証から、次の一歩を歩み出すヒントを見つけることができるはずです。複雑な要素が重なり合った3月の貴重な経験。この困難を乗り越えたNGO、大学、旅行会社の情報を検証し共有すること、その作業がスタディツアー再開に向けたもっとも具体的な情報となるのではないでしょうか。

3月の貴重な経験とそこから導かれるリスクのシミュレーションは、ツアーの再開には困難な課題が山積していることを示しています。ツアーの再開は容易なことではありません。感染予防策を列挙した「新型コロナウイルス対応ガイドライン」が、現場で求められる対応の指針ではないことは、いうまでもありません。

旅行保険、旅行事故緊急費用の活用

 旅行保険の活用は3月の経験から学んだ重要なポイントです。旅行事故緊急費用の条件を熟知し活用すれば、旅行中断と帰国の際の費用負担をカバーするために有効に機能します。AIGの場合5万円を上限としていますが、例えば復路便の航空運賃や宿泊費などが保険支払の対象となります。旅行の中止を判断する際の費用的な問題を解決する切り札として期待できますが、保険の対象となる場合と対象とならない場合を押さえておくことがポイントです。

催行か?中止か? 無視できない取消料の壁

募集型企画旅行の場合、旅行の申込みをすると出発の30日前から(ピーク時は40日前から)取消料の対象となります。取消料がかかるのは参加者が旅行を取り消した場合です。一方で旅行会社が旅行の催行を取り消すと旅行代金は全額返金しなければならないことが約款に定められています。

たとえば、第二波の流行などコロナの感染状況によって、現地の村や団体の受け入れができなくなり旅行の催行を断念する場合を考えてみましょう。このケースでは旅行会社が催行を中止することとなるので旅行代金を全額返金しなければなりません。ところが航空会社からは航空券の取消料の請求があります。宿泊の取消料などについても支払をしなければなりません。出発の直前にこのような問題が生じると大きな赤字を避けることができません。2020年3月にはこのようなケースが多発しました。

訪問先の国が入国制限を始めて旅行の催行を断念する場合など、さまざまなケースで同様のリスクが生じます。

受け入れ先の事情は だいじょうぶ?

2020年3月におこったフィリピンの事例では、滞在先の施設の敷地からの外出を禁止される、滞在先の建物からの外出を禁止されるというケースが複数発生しました。

出発前に市長から地域への入域を禁止され、催行を断念したケースもあります。必ずしも中央政府の判断や指示が一律に適用されるわけではありません。訪問する地域の市長や村長によって対応が大きく異なることを体験しました。村の人々、滞在する施設の人々やホームステイ先の家族など、日ごろは日本からの訪問者を歓迎してくれている人々の間にも不安が広がります。ツアーの催行か中止の判断だけでなく、滞在中に刻々と変化する状況に応じて難しい判断を迫られました。滞在する施設に看護師が毎日やってきて、参加者全員の検温を実施するというケースでは、発熱した人がなく無事にツアーを終了しましたが、仮に発熱した人があった場合には入院となり、さらに難しい事態が想定されました。

都市のロックダウンと緊急脱出

2020年3月のフィリピンの事例では、マニラのロックダウンの発表を受けて緊急にツアーを中断して帰国するケースが複数発生しました。深夜のうちに空港まで移動してロックダウン直前のマニラの混乱と渋滞を避けるという対策をとり、無事に帰国することができました。一刻を争う中で、航空券の緊急手配、旅行保険の適用条件の確認、空港までの車の手配、参加者への案内などの判断を迫られます。

ロックダウンとフライトキャンセル

  2020年3月の事例では、マレーシアの都市のロックダウンの発表を受け、ミャンマーに出張中のNGOスタッフがミャンマーからマレーシアに戻ろうとした際に発生しました。ヤンゴンの空港が混乱していてマレーシアへの航空券を購入することができない、ネットもつながりにくいという状況にあり、現地では航空券の手配が困難となりました。このままでは駐在先のマレーシアに戻れません。連絡を受けた日本側の旅行社で航空券の手配をし、メールで航空券を送ることでロックダウンの前にマレーシアに移動することができました。混乱の中にある現地側で対応することの難しさが浮き彫りになりました。

 アフリカに多くの研究員を派遣しているケースでは、大学の研究員がカメルーンから日本に撤収する航空便が全てなくなり帰国の目処がたたなくなりました。現地の治安状況が悪化する中、近隣国までのチャーター便と、それに乗り継いで日本に帰国する航空便の手配には、大学と旅行社の緊密な連携が必要でした。

 

 

航空機の経由地もハードルになる

訪問する国に問題はなくても、航空便の乗り継ぎ空港での検温が問題となり、ツアーの参加を断念するというケースが発生しました。ツアーの目的地はインド。当初は香港乗り継ぎの航空便を予定していましたが、中国での感染拡大を受けて乗り継ぎ地点をバンコクに変更しました。その後に、バンコクでの乗り継ぎの際に検温を条件とするという発表がありました。もし検温で発熱と判断された場合、おそらく次のフライトに搭乗できずバンコクで入院となります。経由地での入院の可能性は参加者にとって大きな不安の材料となりました。振り返ってみると、はじめから直行便を利用していれば、経由地の問題を避けることができたといえます。

 

時系列に沿った課題

企画準備段階

 現地の受け入れは可能か?

  日本からのツアーが訪ねることの持つ意味は、変化したのか?

歓迎する人、心配する人、迷惑と感じる人がいるはず。

 募集しても参加者が集まるのか?

  スタディツアーに対する需要は変化したのか?

  学生などの参加者の経済的な状況は変化したのか?

  参加者の家族などが反対しないための対策は?

 

出発前

 参加の条件 健康チェック

参加を受付ける or 断る基準とタイミング

  PCR検査、抗体検査 どんな検査?どこで受けるの?費用は?

  体温測定  健康チェック、

 催行決定・中止の判断

  コロナ第二波の影響と募集型企画旅行の取消料規定

  催行か中止かの判断に無視できない取消料の壁

 

旅行中

 参加者が新型コロナに感染した場合、発症した場合

 受け入れ側が新型コロナに感染した場合、発症した場合

 国や地域がロックダウンした場合

 

帰国後

 参加者が新型コロナに感染した場合、発症した場合

 受け入れ側が新型コロナに感染した場合、発症した場合

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